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物語はただそのこにあるだけではない [偽善者の日記]

 ちょっと疲れている時に、子供が借りてきた本を読むことがある。物語が一直線で、何を伝えたいかがはっきりとしているのがいい。それでいて思いもしなかった結末に意表を突かれたりすると気分も高揚する。
 岡田淳の「そこから逃げ出す魔法のことば」は孫のちょっとした疑問や呟きをきっかけに、おじいちゃんがほら話のような冒険談を話す。その話は孫のつっこみを上手く取り込みながら小気味よく進む。いくつかある物語全てが「お後がよろしいようで」と締めるのがぴったりなオチで創作落語のよう。
 岡田淳の他の話も読みたくなって図書館にあった「ふしぎの時間割」を借りてきた。話は10話。その中の「ピータイルねこ」は小学校で一人で行ける場所がトイレだけという一年生の女の子が保健室に届け物に行く話。
 トイレに一人で行けたのは"みどり"という女の子の名前と同じ緑色の床材をたどって行くことができる場所だから。その緑色だけという制約から女の子を解き放ってくれたのが黒い猫。保健室に届け物が終わってめでたしめでたしで終わらず、猫の機転で締めるところがいい。
 緑色の床材だけしか歩けないという設定に「レナードの朝」を思い出した。色のついたタイルしか歩けなかったのは、ロバート・デ・ニーロだったっけ?女性だったような気もする。霧が晴れたように病気から解放されたデ・ニーロの表現が胸を打った。
 「ピータイルねこ」も物語の最後、世界の広がりを知り飛び跳ねながら猫とともに去っていく女の子の後ろ姿が目に浮かぶようだった。
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