梨木 香歩は好きな小説家の一人です [偽善者の日記]
『岸辺のヤービ』は、長編ファンタジーの序章という位置づけらしく、登場人物の性格を丁寧に拾い、舞台や設定などこれから展開してく物語の枠組みを読者に提示して、次作以降の広がりを予感させる作りとなっている。
児童文学に分類されているのだが、物語にちりばめられているのは、ネオコチノイドの影響を想起させる蜂の減少や異常気象による水源の変化、菜食主義者などマイノリティへの配慮など新聞で扱われるような社会問題。そこに自分の周囲の環境や対人関係などに対する思春期特有の敏感な感性というスパイスを加えている。ヤービという架空の生き物を主役に置いてファンタジーに仕上げているが、けっこう硬派な物語だ。
これからの展開は『僕は、そして僕たちはどう生きるか』の時に感じた「考えて。もっと考えて。で行動するの?しないの?」的な問いかけをヤービというオブラートに包みつつ読者に投げかけてきそうな気がする。作者が一般大人向けの小説で描く"諦め"を振り払い、若い世代に問いかけることで自分が大切にしてきたことを守ってくれる次の世代を育てたい、そんな思いを感じた。
2016-04-04 23:16
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あれ、作者の誤字を発見しちゃいました。
岸部一徳、シロー兄弟の末っ子『やあび』の話しでしたよね。
芸能界から距離をおいているため、世間的には架空の存在ではあるけれど、実は1番の芸達者でとりわけサッカーの腕前は世界クラス。
現役時代はファンタジスタとして活躍し、釜本さんらとともにメキシコ五輪で銅メダルを手にしたことは有名です。
あっ、ここまで言ったら誰のことかわかっちゃいますね。
by もっきー (2016-04-10 16:12)
>もっきー さん
みなまで言わんでください。
ちなみに当時のファンタジスタはミッキーだけです。
by パキ (2016-04-17 21:23)