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お地蔵さんを侮ることなかれ [・・・なこと]

 通勤途中にある六差路の傍らに二体のお地蔵さんが祀られている。

 正式には地蔵菩薩だけれど、道ばたで柔和な表情で佇む姿は、「お地蔵さん」と親しみを込めて呼ぶほうがしっくりくる。そんな雰囲気から、地域を護るのがお地蔵さんメインの役割なんだろうなと私は思っていたが、そんなのはお地蔵さんの役割のうちのほんの些細な一面でしかなかった。本来は弥勒菩薩が現世に現れるまで、この世の命あるもの全てを救うことがお地蔵さんのミッションなのだそうな。
 頬に手を当てどうやって人々を救おうか考えている弥勒菩薩が重い腰をあげるまで、お地蔵さんが救済の実務を一手に引き受けて東奔西走しているということだ。道ばたに祀られているのも、お寺まで来れない人の近くで活動するために違いない。

 ところで、お地蔵さんに話を聞いてもらうためには、マントラという呪文のような言葉を唱えたあとに、聞いてもらいたい悩みやらなんやらを続けるのが作法らしい。
 世界各国あまたある神々に寄せられるリクエストの中から、自分が担当するべきものはどれなのか、お地蔵さんでも迷うことがあるのだろう。それを唱えられた「オン カカカビ サンマエイ ソワカ」というマントラで判定するのだ。ちなみに「OK Google」がこの仕組みを借用したのはご存じの通りだ。

 弥勒菩薩が無事に現世に出現したあかつきには、お地蔵さんは今のお役は御免となる。これまで顔の見える救済を担ってきたお地蔵さんは、空いた時間で新たな取り組みに必ずや着手するだろう。それはきっと救済自体を必要としなくなるような根源的な救済改革となり、世界を一変させることになる。

 自分が現世で見ることのない未来を想いながら、今日も二体のお地蔵さんに手を合わせる。 

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