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いつかは使える大人用語上級編 [・・・なこと]

 先週まで補助輪なしでは自転車に乗れなかった隣の子が、スイスイと自転車を操っていた。それを見ていた旦那さんも満足そうにしていたので声を掛けてみた。
「いつの間にか乗れるようになっちゃいますね」
「おかげさまで、ようやく乗れるようになりました」
 うわつ!おかげさマスターがこんな身近にいるとは思わなかった。年齢も近いのでリラックスして話しかけたが油断大敵。「おかげさま」の用法および適用範囲を熟知していなければ、「おかげさまだなんて言われるようなこと、自分は何もしていませんけど?」と真顔で返してしまうところだ。
「よかったですね。よかったよかった」
 動揺を悟られないよう「よかった」を連呼し、会話が続く先を押さえ込みながら家に逃げ込んだ。


 職場でエレベーターを待っていると、お客さんが声を掛けてきた。
「パキさん、最近お忙しそうですね」
「この時期は色々と重なりますよね。そちらはいかがですか?いつも遅いですよね」
「おかげさまで、やることが盛り沢山です」
おっと、ここにもおかげさマスター。職場では常に界王拳3倍を維持しているので、おかげさマスターとの接触も慌てない。
「踏ん張りどころですね」笑顔で無難な一手を打ち、一緒にエレベーターに乗り込んだ。

「おかげさま」それは使いこなしたら大人の階段を一気に駆け上がれるに違いない輝きを持った上級大人用語。身近におかげさマスターのいない環境で育ったことで古典と勘違いしてきたが、気がつけば周りは「おかげさま」など易々と使いこなす大人用語の猛者ばかり。
 大人として生き残るためここ数ヶ月休日返上で自主トレに励んできた。受け取り方はなんとかモノになってきたが、使いこなすには至っていない。おかげさマスターに出会うたびに動揺している自分の弱さに苦笑しながら、なんとか騙し騙しやり過ごしている。
 物覚えの悪い年齢になってきた。初級大人用語の「のっぴきならない」からやり直すことも考えるべきかもしれない。
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BH

そうなんですね。 こりゃやるしかないかな。
おかげさまで、大人の階段を一段上った気がします。

by BH (2013-04-22 10:56) 

パキ

>BH さん
やりますね。3段飛ばしぐらいで駆け上がってますよ。
by パキ (2013-04-27 21:36) 

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